「投資用マンション営業は稼げるらしい」という噂の真実
「投資マンの営業、年収1,000万円超えがゴロゴロいるらしいよ」
就活中に聞いたこの言葉に惹かれて、私は投資用不動産会社に入社しました。
結論から言うと、年収1,000万円超えは本当。でも、その裏にある「リアル」を知らないと、後悔することになります。
私が見てきた投資用不動産営業の実態を、包み隠さずお伝えします。これから投資用不動産営業を始めようとしている人は、必ず読んでください。
投資用不動産営業とは
仕事の概要
投資用不動産営業は、ワンルームマンションなどの投資物件を個人に販売する仕事です。
販売する商品:
- ワンルームマンション(新築・中古)
- 一棟アパート
- 一棟マンション
- 収益ビル
主なターゲット:
- 高所得のサラリーマン
- 医師、弁護士などの専門職
- 経営者
- 相続対策を考える高齢者
他の不動産営業との違い
| 項目 | 投資用営業 | 売買仲介 | 賃貸営業 |
|---|---|---|---|
| 商品 | 投資物件 | 実需物件 | 賃貸物件 |
| 顧客 | 投資家 | マイホーム購入者 | 入居者 |
| 営業手法 | 電話営業中心 | 反響営業中心 | 反響営業中心 |
| 1件の金額 | 2,000万〜1億円 | 3,000万〜1億円 | 家賃5〜20万円 |
| 報酬形態 | フルコミ型が多い | インセンティブ型 | インセンティブ型 |
投資用営業の最大の特徴は、「電話営業」が中心という点です。
電話営業の実態
1日の電話本数
投資用不動産営業の1日は、電話から始まり、電話で終わります。
一般的な会社の場合:
- 1日の架電数:100〜300本
- 1ヶ月の架電数:2,000〜6,000本
- アポ率:1〜3%
- 成約率:アポの10〜20%
数字で見る現実:
- 100本電話 → 1〜3件アポ → 0.1〜0.6件成約
つまり、100本電話して、1件成約できるかどうか。これが投資用営業の現実です。
電話リストの入手方法
「どこから電話番号を入手しているのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
主な入手経路:
- 名簿業者からの購入
- セミナー参加者リスト
- 資料請求者リスト
- 既存顧客からの紹介
- 企業の社員名簿(違法性あり)
正直に言うと、グレーな入手方法も存在します。そのため、「迷惑電話」として問題になることも多いです。
電話トークの例
投資用営業の電話は、独特のトークがあります。
典型的なオープニング:
「〇〇株式会社の△△と申します。資産形成のご案内でお電話しております。今お時間よろしいでしょうか?」
よく使われるキラーフレーズ:
- 「節税対策にご興味はありませんか?」
- 「老後の年金対策を考えていらっしゃいますか?」
- 「ご年収が〇〇万円以上の方限定でご案内しております」
電話を受けた経験がある方は、「あの電話か」と思うかもしれません。
投資用不動産営業の年収
給与体系の特徴
投資用不動産営業は、「フルコミッション」または「それに近い形態」が多いです。
典型的な給与体系:
- 基本給:15〜25万円
- 歩合:物件価格の1〜5%
- ボーナス:なし(または少額)
例:3,000万円の物件を販売した場合
- 歩合3%の場合:90万円
- 歩合1%の場合:30万円
年収の実態
| ランク | 年収目安 | 月間成約数 |
|---|---|---|
| トップセールス | 1,500〜3,000万円 | 3〜5件 |
| 上位20% | 800〜1,500万円 | 2〜3件 |
| 平均 | 400〜800万円 | 1〜2件 |
| 下位30% | 200〜400万円 | 0〜1件 |
「年収1,000万円超えがゴロゴロ」というのは、トップ層の話。平均的な営業マンは、400〜800万円程度です。
年収1,000万円を超えるには
必要な成約件数(歩合3%、平均物件価格3,000万円の場合):
- 目標年収1,000万円
- 必要な歩合収入:800万円(基本給200万円として)
- 必要な販売総額:約2.7億円
- 必要な成約件数:9件/年 = 月0.75件
月に1件弱のペースで成約できれば、年収1,000万円は達成可能。ただし、これは「平均的な月」の話で、実際は数ヶ月成約ゼロが続くこともあります。
投資用不動産営業が「きつい」と言われる理由
理由1:精神的なプレッシャー
電話営業は、断られることの連続です。
1日の電話で起きること:
- ガチャ切り:50%
- 「興味ない」で終話:30%
- 話を聞いてくれる:15%
- アポが取れる:3%
- クレーム:2%
「今日も100本電話して、全部断られた」
こんな日が続くと、精神的にきつくなります。
理由2:長時間労働
投資用不動産営業は、労働時間が長い傾向があります。
典型的な1日:
- 9:00 出社、朝礼
- 9:30 電話営業開始
- 12:00 昼休憩
- 13:00 電話営業再開
- 18:00 夜の電話営業(在宅勤務者向け)
- 21:00 日報作成、退社
「夜8時以降しか電話に出られない」というお客様も多いため、夜間の電話営業が必須になります。
理由3:社会的なイメージ
正直に言うと、投資用不動産営業は社会的なイメージが良くありません。
よく言われること:
- 「迷惑電話の会社でしょ?」
- 「詐欺まがいの商売じゃないの?」
- 「電話してくるな」
合コンで「投資マンションの営業です」と言うと、引かれることも。この社会的イメージは、精神的な負担になります。
理由4:離職率の高さ
投資用不動産営業の離職率は、非常に高いです。
業界の実態:
- 1年以内の離職率:50〜70%
- 3年以内の離職率:80〜90%
「10人入社して、3年後に残っているのは1〜2人」
これが投資用不動産営業の現実です。
理由5:倫理的なジレンマ
投資用不動産は、必ずしも「良い投資」とは限りません。
よくある問題:
- 表面利回りは良いが、経費を引くとマイナス
- サブリース契約の落とし穴
- 売却時に大幅な値下がり
- ローン返済で生活が苦しくなる
「この物件、お客様にとって本当に良い投資なのか?」
このジレンマを抱えながら働く人も多いです。
投資用不動産営業に向いている人
向いている人の特徴
1. 断られても折れないメンタル
100本電話して、99回断られても、100回目の電話ができる人。
2. 高収入へのこだわり
「年収1,000万円を超えたい」という明確な目標がある人。
3. 数字に強いコミットメント
「今月の目標は絶対に達成する」という強い意志がある人。
4. 話術に自信がある人
電話だけで相手を説得できるトーク力がある人。
5. 短期集中型の人
「3年で1,000万円貯めて辞める」など、期限を決めて働ける人。
向いていない人の特徴
1. 断られるのが苦手な人
電話営業は「断られることが仕事」。これが苦手な人は続きません。
2. 安定志向の人
フルコミに近い給与体系なので、収入が不安定。安定を求める人には向きません。
3. 倫理観が強すぎる人
「本当にお客様のためになるのか」と考えすぎると、売れなくなります。
4. ワークライフバランスを重視する人
長時間労働が前提の業界。プライベートを大切にしたい人には厳しいです。
投資用不動産営業からの転職
転職で活かせるスキル
投資用不動産営業で身につくスキルは、他業界でも評価されます。
活かせるスキル:
- テレアポ力(アウトバウンド営業)
- クロージング力
- プレッシャーへの耐性
- 金融知識
- 高額商品の販売経験
おすすめの転職先
1. 他の不動産営業(売買仲介)
- 反響営業中心で、電話営業が少ない
- 社会的イメージが良い
- スキルをそのまま活かせる
2. 金融業界(保険、証券)
- 金融知識を活かせる
- 高収入の可能性
- 投資商品の知識が役立つ
3. IT営業(SaaS)
- 働き方が改善される
- 将来性がある
- 営業スキルが活かせる
4. 人材業界
- 対面営業に移行できる
- ヒアリング力を活かせる
- 土日休みになれる
転職活動のポイント
1. 「なぜ辞めたいのか」を整理する
「電話営業がきつい」だけでは弱い。「対面でお客様と向き合いたい」など、ポジティブに変換しましょう。
2. 実績をアピールする
「月3件成約」「年間売上1億円」など、数字でアピールできる実績は強みになります。
3. 業界のネガティブイメージを払拭する
「お客様に本当に良い提案をしたかった」など、倫理観をアピールすると好印象です。
よくある質問(FAQ)
Q. 投資用不動産営業は違法?
電話営業自体は違法ではありません。ただし、虚偽の説明や強引な勧誘は法律違反になります。会社によっては、グレーな営業手法を行っているところもあるので注意が必要です。
Q. 電話営業以外の会社もある?
あります。セミナー集客型、Web集客型など、電話営業をメインとしない会社も増えています。ただし、電話営業の会社より年収は低い傾向があります。
Q. 投資用不動産営業の経験は、転職で評価される?
評価されます。「高額商品を売れる」「プレッシャーに強い」「断られても折れない」というスキルは、他業界でも評価されます。
Q. 本当に年収1,000万円超えられる?
トップ層は超えられます。ただし、入社1年目からは難しく、2〜3年経験を積んで到達する人が多いです。また、トップ層以外は400〜800万円程度が実態です。
まとめ
投資用不動産営業は、「稼げる」と「きつい」が同居する仕事です。
事実:
- 年収1,000万円超えは可能
- ただし、トップ層に限られる
- 離職率は非常に高い
- 精神的なプレッシャーは大きい
向いている人:
- 断られても折れないメンタルがある
- 高収入への強いこだわりがある
- 短期集中で稼ぎたい
向いていない人:
- 安定を求める
- ワークライフバランスを重視する
- 倫理的なジレンマを抱えやすい
「稼げる」という言葉だけで飛び込むと、後悔する可能性があります。この記事を読んで、「それでもやりたい」と思えるなら、挑戦してみる価値はあるでしょう。